守口 剛
公益財団法人流通経済研究所 評議員/早稲田大学 教授
守口 剛
公益財団法人流通経済研究所 評議員/早稲田大学 教授
モノからコトへという消費価値の変化は、モノベースから価値ベースの価格設定への変化を促しているが、顧客にとっての利用価値や体験価値は人によって異なるため、価値ベースの価格設定においては顧客別価格を採用することが自然な方策となる。本稿では、近年進展しているサブスクリプション・モデル、成果ベース価格などの価格設定方式の新しい潮流に焦点を当て、これらの方式が顧客価値をベースとする顧客別価格設定を実現するための解であるという視点から、価格設定方式の動向を論じる。
キーワード: 価格設定方式、課金方式、顧客別価格、サブスクリプション・モデル、成果ベース価格山口 真一
国際大学 グローバル・コミュニケーション・センター 准教授
近年、ビジネスの破壊的変化が起こる中で、FSP-Dモデルという、「フリー」「ソーシャル」「価格差別」「データ」を組み合わせたビジネスモデルが覇権を握るようになってきている。本稿では、その中でも情報財の価格戦略として、特に「フリー」「価格差別」に着目し、豊富な事例と実証分析結果を示したうえで、日本企業が今後とるべき戦略について検討する。
検討の結果、①フリーで成功するには、共食いを恐れずにフリーでも良い体験を消費者に提供すること、②高度なシステムであってもフリーにすることで、ネットワーク効果やビッグデータ活用という観点からビッグビジネスになること、③多段階価格差別では、一物一価の時の7~8倍の収益が得られること。などが明らかになった。
久我 尚子
ニッセイ基礎研究所 生活研究部 主任研究員
サブスクリプションサービス普及の背景には「所有から利用へ」という消費行動の変容がある。「所有から利用へ」という流れには、経済的な理由からモノを「買えなくなった」、消費社会の成熟化や情報技術の進化によって「買う必要がなくなった」、モノよりも「コトを買うようになった」という3つの要素がある。コロナ禍では経済的な厳しさが一層増すとともに、巣ごもり需要や非接触志向の高まりによって消費行動のデジタル化が加速している。今後はシニアのデジタル消費も期待でき、サブスクリプションサービスには好機とも言える。新型コロナウイルスは経済活動に甚大な悪影響をもたらしているが、新たなビジネス機会も創出している。
キーワード: 所有から利用へ、デジタル化、新型コロナウイルス、巣ごもり需要、サブスクリプション渡邊 秀介
公益財団法人流通経済研究所 研究員
インターネットを通じて任意の金額を贈ることができる「投げ銭」サービスが流行しつつある。一例として、動画配信サービスYouTubeが提供するスーパーチャット機能は、投げ銭機能を配信者と視聴者のコミュニケーションと結びつけることで、その利用を促進することに成功している。本論では、スーパーチャットを事例として、投げ銭というサービスがもつ性質とその応用可能性について検討する。
キーワード: 投げ銭、YouTube、スーパーチャット、双方向コミュニケーション、投資と寄付小野 譲司
青山学院大学 経営学部 教授
中村 博
公益財団法人流通経済研究所 理事 /中央大学大学院 戦略経営研究科 教授
鈴木 一正
中央大学 中村博研究室 アジアショッパーインサイト研究会