折笠 俊輔
公益財団法人流通経済研究所 主席研究員
折笠 俊輔
公益財団法人流通経済研究所 主席研究員
本稿では、マーケット拡大が続く青果物のECについて、ECサイトの運営形態から、モール型EC、産直型EC、仕入れ型EC、自社ECの4つに分類し、それぞれの特徴について論じたのち、その比較を行った。また、生産者視点で見た場合のECの意義を確認し、生産者の規模別、戦略思考別に考えることができるEC分類の利用の方向性について整理した。生産者の規模や、ECチャネルによる販売が自社売上高に占める比率をどれくらいにするのか、生産している品目構成はどうなっているのか、といった状況を踏まえ、生産者は戦略的にECを活用していくことが重要である。
キーワード: EC、インターネット販売、産地直売、販路拡大、アフターコロナ石橋 敬介
公益財団法人流通経済研究所 主任研究員
本研究では、農産物ECでの買い物を想定したアンケート調査により、品目の分類を行った。
アンケートでは、「関与」「知覚差異」「支出の痛み」「品質バロメータ」という4点について調査する質問項目を設けて、品目ごとの特性を明らかにし、それを基にした分類を行った。具体的な研究成果として、例えばメロンや牛肉においては、消費者が他品目より深く情報処理を行うため詳細な情報提供が求められることや、ぶどう等では価格を手掛かりにした品質判断がされやすいことなどを明らかにした。この研究の成果は、生産者やEC事業者が取り扱う品目に合わせた販売を行う際に利用できるものである。
小野 邦彦
株式会社坂ノ途中 代表取締役
アブストラクト:
坂ノ途中は、環境への負担の小さい農業を広げることを目標に、インターネット通販(以下EC)、法人顧客向けの農産物卸、東南アジアを中心とした途上国におけるコーヒー生産の品質向上及び輸入販売を行っている。
なかでもECは売上全体の6割程度を占め、安定的な成長を続けている。ECの主力は、バリエーション豊かな季節の野菜を詰め合わせた「野菜セット」。古典的とも言える野菜の定期宅配をメインに据えたECが、なぜ成長を続けているのか、改めて分析してみた。
菰田 央
東御こもだ果樹園 代表
長野県東御市でぶどうの生産を行っている東御こもだ果樹園は2015年に新規就農者として営農開始し、今季2022年で8期目になる。営農初期は農協と個人顧客(電話、FAX、メールでの注文)のみの取引であったが、直近(2021年)は、農協出荷はゼロとなりECにシフトした。
農協の下請けを卒業し、ECを通じて独自にマーケティング展開するためには、東御こもだ果樹園をブランディングし、販路を築き上げる必要がある。その過程の様々な場面における、判断→決断→施策→結果とその他データを交え、『農産物ECを通じたマーケティングやブランディング』について考察する。
中島 彰一
公益財団法人流通経済研究所 研究員
Mansfeld(1992)の旅行目的地選択の概念モデルに基づき、食品の購買が旅行目的地選択における情報収集手段となり得ること及び食品の購買経験があることが旅行目的地設定における内発的動機となり得ることについて、地域特産品の購買に関する消費者アンケート調査を通じて検証を行った。なお、前者については、結果的に産地についての情報の蓄積につながっている可能性があることから、旅行目的地選択における情報収集手段となり得るといえ、肯定することができる。後者については、何がより強い動機となり得るかまでは判断できないが、少なくとも訪問経験の有無により、はっきりと結果に差異が生じていることから肯定することができる。
キーワード: 地域特産品、EC、実店舗、観光目的地選択、内発的動機北澤 裕明
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門 上級研究員
渡辺 達朗
公益財団法人流通経済研究所 理事/専修大学 商学部 教授