石橋 敬介
公益財団法人流通経済研究所 客員研究員/信州大学 経法学部 准教授
石橋 敬介
公益財団法人流通経済研究所 客員研究員/信州大学 経法学部 准教授
統計的因果推論は、原因と結果の関係を精度よく推定するための方法である。プロモーション効果測定においても、プロモーションの実施が原因、売上や消費者態度等が結果であり、原因と結果の関係の推定がテーマである。本稿では、まず統計的因果推論の手法を用いない効果測定にどのような問題があるかを述べる。その上で、問題を解消する手法について、事例を交えて説明する。ここで紹介する手法は、企業がプロモーションの効果をできる限り正確に測定し、効果のあるプロモーションを知見として蓄積するために利用できる。
キーワード: 統計的因果推論、プロモーション効果測定、ランダム化比較試験、マッチング、差分の差分法安井 翔太
株式会社サイバーエージェント 主席データサイエンティスト
Webプロモーションはスマホの登場やネット上のサービスの発達により、現在では様々な業界で利用されるようになった。しかし、その効果を検証する際、一般的には問題のある手法が用いられることが多くなっている。本稿では、因果推論の考え方に基づいた効果検証について解説し、実際にWebプロモーションの効果を検証した学術論文の結果について解説する。また、それらの論文を参考に実際に行った効果検証の事例についての解説も行う。
キーワード: 効果検証、Webプロモーション、広告効果、販促効果、因果推論田窪 和也
株式会社インテージ カスタマー・ビジネス・ドライブ本部 マーケティング戦略部 コミュニケーション戦略支援グループ コミュニケーション ストラテジスト
メディアの多様化にともなって広告コミュニケーションのプランニングは複雑性を増しており、それに応じるように新たな効果測定の考え方や方法論・ツールが開発されています。
一方、自社の課題に適している広告効果測定手法を、多様な選択肢の中から、何を基準に選び取るべきか悩む企業も多くなっています。また、適切な広告効果測定の設計・分析を行わないと、正しい評価ができない危険性もあります。
そこで、広告効果測定の現状を整理した上で、目的に応じた手法の選び方、そして効果測定の設計方法・分析方法について解説します。
河股 久司
日本大学 商学部 専任講師
本論文は、食品科学研究で議論が行われている彩度から知覚される新鮮さに注目し、ブランド・ロゴへの適用を試みたものである。色の鮮やかさを示す彩度を用いた既存研究では、彩度が高い対象を新鮮であると判断し、彩度が低い対象を新鮮さが損なわれたものであると評価することが知られている。本論文では、この知見を援用し、ブランド・ロゴの彩度とブランドの創業時期の適合がもたらす効果を検討した。4つの実験を通して、①ブランド・ロゴの彩度が高いと当該ブランドの創業時期を新しく知覚すること、②創業時期に応じて、ふさわしいロゴの彩度が異なること、③創業時期が新しい場合において彩度が高いブランド・ロゴを使用すると、ブランド態度が向上することが確認された。本論文の結果は、新規ブランドにおけるロゴの策定において実務的な意義を提供できると考えられる。
キーワード: ブランド・ロゴ、色彩、彩度、新しさの知覚、ブランド態度石橋 敬介
公益財団法人流通経済研究所 客員研究員/信州大学 経法学部 准教授
吉原 直樹
株式会社アルテ ジェネシス 代表取締役会長 株式会社アッシュ 創業会長
聞き手 中村 博
公益財団法人流通経済研究所 理事/中央大学大学院戦略経営研究科 教授
杉本 ゆかり
跡見学園女子大学 兼任講師
中村 博
公益財団法人流通経済研究所 理事/中央大学大学院 戦略経営研究科 教授
買い物客は現在の購買を将来の購買より優先する現在バイアスが生じるがゆえに非計画購買は発生すると考えられる。DXが進展するなかで、CX(顧客体験価値)が重要視されてきており、顧客体験価値を高める非計画購買について顧客満足の視点から確認することはメーカーや小売業にとって不可欠である。しかし、非計画購買時の期待とその後の知覚品質との期待不一致による顧客満足の実証研究は僅かである。本研究は、リアルとオンライン購買では非計画購買の類型が異なっていることを明らかにした。また、リアルとオンラインの非計画購買では、期待および期待不一致が顧客満足に影響を与え、顧客満足が再購入意図に与えることを確認した。さらに、リアル購買はオンライン購買より期待が高いことを明らかにした。
キーワード: 期待不一致、顧客満足度、再購入意向、オンライン購買、リアル購買中原 孝信
専修大学 商学部 教授