政策調査

領域6:事業者の取引慣行の適正化

外資系流通業の参入や大手小売業の成長などにより、日本の流通システムは製・配・販の機能分担が大きく変化しつつあります。しかし、これまでの商慣行では、機能分担の変化に対応できず、効率化のメリットを配分しにくい状況となっています。このため、大手企業の主導で新たな商慣行が形成されようとしてきていますが、必ずしも経済合理性に基づいているとは考えられないようなケースも見られます。
一方、各業界の独自の取引慣行は、それぞれの業界で歴史的に形成されてきており、経済合理性に基づく方向に改善していくためには、業界全体としての議論を踏まえて適正化政策を検討することが必要です。

近年実施した研究調査例[( )は受託元名]

  • 化粧品流通の商慣行改善(経済産業省)
  • 福祉用具産業の流通に関する商慣行の改善方向(経済産業省)
  • 外資系流通業の参入による商慣行への影響(経済産業省、公正取引委員会)
  • 商取引慣行改善ワーキングチーム(農林水産省、日本有機資源協会)
  • 加工食品、酒類、乳製品等の新取引制度構築に関する調査(民間企業)

プロジェクト実施例

福祉用具産業の流通に関する商慣行改善調査

■目的
介護保険制度の導入により、福祉用具の調達方法は購入主体からレンタル主体に移行した。このため、福祉用具の流通構造・商取引慣行が大きく変化しているため、実態を把握するとともに、業界全体の健全な発展に向けた課題を抽出した。

■内容
1. 福祉用具業界の概要
2. 福祉用具業界の商慣行の実態(アンケート調査、ヒアリング調査)
3. 商慣行の実態、問題点及び改善の方向

■結果
卸売業間の競争を促進すること、事業者と利用者間の情報格差を縮小する必要があること、フィッティングなどのサービスとコストの関係を明確化する必要があること、用具の消毒・保管の基準を明確に設定することなどが解決すべき課題として抽出された。