シリーズセミナー「ネットとリアルから見る中国流通の今」2019年度【第11回】ECが生活インフラになる中国:メーカーと小売のデジタル化戦略
~アリババ研究院よりゲスト・スピーカーを招へい~

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多数のご参加ありがとうございました。

近年、中国ではスマートフォンの普及、キャッシュレス化の進展、宅配・即時物流システムの整備、多様なオンライン・サービスの開発・利用により、ECが生活インフラになりつつあります。こうした状況に対し、メーカーや既存の小売業がどのように対応すべきでしょうか。

2019年度の中国流通シリーズセミナーでは、中国の商業統計、消費者の生活、買物スタイル、世代別の変化を分析したうえで、EC、ハイパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストアの最近1~2年の動向を整理し報告します。特に即時物流の整備により、生鮮や医薬品などの約30分で届けられるECも登場したり、個人商店もチェーン店も相次ぎ即時配達サービスを導入し、オンライン注文で売り上げを伸ばしていることに注目したいです。

また、メーカーの対応として、ECをチャネルのみならず、ECで蓄積してきた個人特定可能なビッグデータを活用して、迅速な製品開発・生産・流通体制や精緻かつ有効なマーケティング展開も見せています。日用品メーカーのP&Gや食品メーカーの伊利の事例を取り上げて分析します。

今回は、アリババ研究院よりゲスト・スピーカーをお招きしました。EC企業として、アリババがメーカー、小売業、消費者にどのようにアプローチし、生活インフラになりつつあるECの位置づけと役割をどう見ているのかについてお話いただきます。

開催概要

開催日 2019年7月19日(金) 10:00~17:40終了
会場 アビタス新宿会議室 セミナールーム6
東京都渋谷区代々木2-1-1新宿マインズタワー15階
・ JR新宿駅 新南改札口より5分
・ 都営新宿線、都営大江戸線、京王新線 新宿駅A1出口直結
講師 (公財)流通経済研究所 特任研究員 李雪
玉川大学経営学部准教授/(公財)流通経済研究所客員研究員 神谷渉
専修大学 商学部助教 孫維維
アリババ研究院・新商業研究中心 副主任 呂志彬
参加費 1名様につき 50,000円(税込54,000円)

プログラム

10:00~11:15

1.中国の消費と生活インフラの変化

●中国消費市場の現状
社会消費財小売総額の拡大状況
消費の格上げか、格下げか
世代別消費行動と意識の相違

●生活インフラの変化
生活インフラのオンライン化
オンライン決済の拡大とキャッシュレス化
宅配と即時物流のインフラ化
オフラインとオンラインをつなぐミニプログラム

2. ECの動向

●ネット小売販売の現状
EC化率の上昇
商品別販売状況
越境EC新政策と企業の対応

●大手3社の動き
天猫:新商品発売の活発化
京東:成長失速と組織調整
拼多多:価格訴求とSNS活用で急成長

●生鮮ECの陣取り合戦
店舗倉庫一体化:盒馬鮮生(フーマ)
前置倉庫:毎日優鮮、叮咚買菜
即時物流+既存小売:美団外売、饿了么、京東到家

(公財)流通経済研究所 特任研究員 李雪
11:30~12:30

3.メーカーのEC戦略:P&G、伊利の事例

●P&G:EC強化をテコ入れに中国市場巻き返し
ECチャネルへの取り組み
天猫との提携とデジタル・マーケティングの実施
高機能・高価格帯製品の強化と開発の迅速化
「Olay」のリブランディングと若年層の獲得
EC向けの生産・物流体制の整備

●伊利:リアルとネットを両輪に拡大を狙う
中国乳製品の特徴と消費者の購買習慣
EC直営体制の確立
天猫、京東、蘇寧との提携強化
重点製品の強化と新製品開発の加速

●EC主役時代のマーケティング戦略
ビッグデータの活用と顧客へのアプローチ手法
EC連動の開発・生産・流通体制の構築

(公財)流通経済研究所 特任研究員 李雪
12:30~13:30 休憩 ※昼食は各自でお取りください
14:10~14:40

5. コンビニエンスストアの動向

●コンビニエンスストアの全体動向
技術の活用による業態の進化、業績の二極化

●ファミリーマート
頂新との係争の影響
無人化の実験「全家+」コンセプト店舗

●ローソン
聯華超市との合弁解消と独自でのテコ入れが奏功
エリアフランチャイズや買収による積極的な店舗拡大

●セブンイレブン
エリアフランチャイズによる地域展開の拡大(福建省、陝西省)
美団との提携(北京)によるEC対応

●内資系コンビニ
全時、隣家の破たん
アリババ・京東・蘇寧によるO2O型コンビニの拡大

玉川大学経営学部 国際経営学科 准教授 (公財)流通経済研究所 客員研究員  神谷渉
14:55~15:55

6. 主要小売チェーンの動向

●連鎖経営協会チェーンストアランキングのレビュー
好調チェーンと不振チェーンの特徴
アリババ陣営と京東・テンセント陣営に2分化傾向

●大潤発・オーシャン
大潤発とオーシャンの連携強化
アリババとの連携強化と自営EC(飛牛網)からの撤退
O2O型店舗と無人店舗の展開

●ウォルマート
小型ハイパーマーケットの展開
会員制倉庫店サムズクラブの強化

●カルフール
再燃する身売りの観測
新業態の模索(Easy, Le Marche)

●永輝
京東・テンセント陣営の中核小売チェーン
地域チェーンへの出資・連携を拡大
収益化に苦労するニューリテール店舗

●その他内資系小売チェーン
華潤万家、物美など

●日系小売チェーン
モール展開で出店拡大するイオン
成都で存在感を示すイトーヨーカ堂

16:10~17:40

デジタル時代におけるアリババの実践

●対メーカー
天猫によるオンラインとオフラインのサポート
新商品発売でのサポート
データ分析でのサポート

●対小売
「新小売」(ニューリテール)コンセプト
既存小売企業への買収
技術面でのサポート

●対消費者
オンライン決済
生活サービスでのサポート

アリババ研究院・新商業研究中心 副主任 呂志彬 氏
(逐次通訳あり)

※プログラムや講師は、都合により変更となる場合がございます。あらかじめご了承ください。

講師紹介

李 雪 (公財)流通経済研究所 特任研究員
<略歴>
 中国吉林省出身。2005年新潟経営大学経営情報学部卒業。13年早稲田大学大学院商学研究科博士後期課程修了、博士(商学)。早稲田大学商学学術院助手、中京学院大学経営学部専任講師を経て、2015年より現職。
<主な著書・論文>
・単著『中国消費財メーカーの成長戦略』文眞堂、2014年
・共著『中国・東南アジアにおける流通・マーケティング革新』白桃書房、2015年
・「中国におけるオンライン決済市場の拡大と支付宝(アリペイ)の普及」『流通情報』2017年3月
・「激変する中国の流通:メーカー、卸、小売に見る流通システムの変化」『流通情報』2014年9月

神谷渉 玉川大学経営学部国際経営学科 准教授/(公財)流通経済研究所 客員研究員
<略歴>
青山学院大学国際マネジメント研究科修士課程修了。(公財)流通経済研究所主任研究員を経て現職。経済産業省グローバルサービス創出研究会委員(2016年度)、(一財)日中経済協会経済交流委員(2015年度)など。
<主な著書・論文>
・共著『中国流通のダイナミズム 内需拡大期における内資系企業と外資系企業の競争』白桃書房、2013年4月
・「電子商取引 アリババ対テンセント・京東 実店舗争奪戦」週刊エコノミスト2018年3月20日号

孫維維 専修大学 商学部助教
<略歴>
中国天津市出身。2006年中国天津財経大学商学部卒業。卒業後、中国大手家電量販会社に勤務。2018年専修大学大学院商学研究科博士後期課程修了、博士(商学)。専修大学社会知性開発研究センターのリサーチ・アシスタントを経て現職。
<主な著書・論文>
・単著『中国におけるドラッグストア発展のダイナミクス』専修大学出版局、2019年2月
・共著「中国における医療保険制度と医薬品流通改革:医薬品流通政策と流通システムの変革を中心に」『流通情報』2016年7月
・「中国におけるドラッグストア研究:ワトソンズの成長要因に関する考察」『商学研究所報』2015年9月

アリババ研究院新商業研究中心 副主任 呂志彬
2007年アリババに入社。2009年よりアリババ研究院に配属。ビッグデータ・マクロ経済指数、消費、小売業、メーカー、商品・価格、O2O、オムニチャネル、新小売などに関する研究に携わっており、アリババ研究院がグローバルコンサルティング会社との数多くの共同プロジェクトの責任者を歴任。アリババでは10年以上の職歴およびフィールド調査の研究経験を持つ。
<主なレポート>
『中国消費趨勢報告:三大新興力量引領消費新経済』
『品質生活指南:互聯網高端消費橙皮書』
『C時代 新零售:阿里研究院解読新零售研究報告』
『中国消費品牌発展報告』(2018、2019)

お問い合わせ先

公益財団法人流通経済研究所
担当:中田、山崎
住所:〒102-0074 東京都千代田区九段南4-8-21 山脇ビル10階
電話:03-5213-4532 FAX:03-5276-5457