ISSN 2433-9784(オンライン)
ISSN 0389-7672(冊子版)
「流通情報」は、流通経済研究所の機関誌として1967年に創刊した雑誌です。現在隔月刊で発行しておりますが、流通・マーケティングの専門誌として評価をいただいております。内容は、流通・マーケティング関連の最先端の論文や、当研究所の研究報告、業界動向を流通・マーケティングの視点から抄録したもの等を掲載しています。
隔月刊:年6号発行、A4版 約100頁
年間購読料:30,000円(税込33,000円)[Web誌面閲覧サービス含む]
※2017年1月発行号から最新号までの論文・記事がPDFで読み放題
守口 剛
公益財団法人流通経済研究所 評議員/早稲田大学商学学術院 教授
守口 剛
公益財団法人流通経済研究所 評議員/早稲田大学商学学術院 教授
因果関係の厳密な捕捉を重視する因果革命、信頼性革命とも称される学術研究の流れと連動し、マーケティング研究においても無作為比較試験(RCT)の考え方に基づくフィールド実験の利用が2010年代半ばから活発になってきた。実務においてもA/Bテストと呼ばれるフィールド実験が、特にオンライン企業において日常的に利用されている。上記のような現状を踏まえ、本稿ではマーケティングにおけるフィールド実験の有効性について、特に因果関係の捕捉、研究のリアリティの向上という側面を中心に検討する。
キーワード: フィールド実験、RCT、A/Bテスト、研究のリアリティ、一般化可能性三谷 羊平
京都大学大学院 農学研究科 准教授
フィールド実験は、参加者を無作為に統制群と処置群に割り当てることで、介入が結果変数に与える因果効果を識別する方法である。因果推論の中でも最も信頼性の高いエビデンスを生み出すフィールド実験であるが、経済学研究においては、統制の程度を示す内的妥当性と現実性の程度を示す外的妥当性の観点から、いくつかのタイプに分類される。本稿では、フィールド実験の分類を詳しく説明した上で、設計・実施・解釈に際する注意点を解説する。フィールド実験研究の奥深さとその見方を伝授する。
キーワード: フィールド実験、内的妥当性、外的妥当性、検出力分析、無作為化比較試験星野 崇宏
慶應義塾大学 経済学部 教授
医学研究や経済学研究ではたとえランダム化比較試験が可能な状況でも、対象者は割り当てられた介入や施策を受けない不遵守の問題を考慮した分析を行わないと正しい効果の評価ができないことが指摘されている。マーケティングにおいても不遵守の問題は重要であり、例えばクーポン付与は無作為化できてもその使用を強制することはできない。本稿ではフィールド実験でのマーケティング施策の因果効果推定において不遵守を考慮することの重要性とそのためのフレームワークを提示し、著者の行った実験例について紹介する。
キーワード: 販促、因果効果、ノンコンプライアンス、局所的平均介入効果、ランダム化比較試験北川 慶
株式会社サイバーエージェント AI事業本部 データサイエンティスト
商品の価格決定は、企業の経営戦略の中で最も重要な意思決定の一つである。しかし、企業が直面する多様な状況下で、客観的かつ再現性の高い価格設定を行うことは容易ではない。本稿では近年急速に発展が進む経済学の知見を活用したフィールド実験によって、様々な商品・業界において適正な価格の発見・設定が可能となることを解説する。解説にあたっては株式会社サイバーエージェントが主体となって小売業やイベント業を対象に実施した2つの実証実験を紹介し、これらの手法の有効性や適切な価格設定が企業の収益に与えるインパクトについても論ずる。
キーワード: フィールド実験、経済学、価格戦略、A/Bテスト、オークション三坂 昇司
公益財団法人流通経済研究所 主任研究員
近年、メタバースを活用した新しいサービスが生まれてきている。本稿では、食品スーパーにおけるメタバース活用の第1歩として、リアル店舗の売場における商品視認とメタバース環境内に構築した同一の売場における商品視認の比較実験の事例を紹介する。事例を通じて、メタバース実験を用いることの有用性やメタバース実験を利用しやすい商品、カテゴリーがあることを確認し、今後の可能性を検討した。
キーワード: リアル店舗、メタバース、視線計測、リアル実験とメタバース実験の比較常盤 勝美
株式会社True Data 流通気象コンサルタント
髙橋 郁夫
青山学院大学 教授/慶應義塾大学 名誉教授
資料情報センター TEL:03-5213-4531(代表) FAX:03-5276-5457