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機関誌「流通情報」

ISSN 2433-9784(オンライン)
ISSN 0389-7672(冊子版)

「流通情報」は、流通経済研究所の機関誌として1967年に創刊した雑誌です。現在隔月刊で発行しておりますが、流通・マーケティングの専門誌として評価をいただいております。内容は、流通・マーケティング関連の最先端の論文や、当研究所の研究報告、業界動向を流通・マーケティングの視点から抄録したもの等を掲載しています。
隔月刊:年6号発行、A4版 約100頁
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No.572 | Vol.56 No.5(2025年1月発行)

特集 小売業のサステナビリティ展望:地域・健康・環境から成長へ

特集にあたって

石川 友博
公益財団法人流通経済研究所 上席研究員

B2C企業に求められるサステナビリティ経営:
サステナビリティは儲からない、を脱するために

磯貝 友紀
ジャパン・アクティベーション・キャピタル株式会社 チーフ・サステナビリティ・オフィサー

 

 日本の消費者に比較し、欧州のみならず新興国でもサステナビリティに高い関心が寄せられている。消費者の具体的な関心や行動を深く理解することで、売上やブランディングにつなげる成功事例が生まれ始めている。例えば、日本の大手食品メーカーのインドネシア子会社A社は環境に優しい紙包装製品をプレミアム価格で販売することに成功した。また、イギリスの大手小売B社は消費者調査をもとに、顧客層ごとに異なるニーズに対応することでブランド価値を高める先進的なサステナビリティ戦略を策定した。さらに、シンガポールの新興企業C社は「簡単・便利×サステナブル」を切り口に成長しつつあり、日本の小売D社は「好き」を入り口にしながらも、結果、自然とサステナビリティに貢献するような利他的行動へ導く戦略を実施し、売上を増やしている。これらの事例は、サステナビリティを利益に結びつけるには、消費者の具体的な関心や行動を深く理解することが不可欠であることを示している。特に、2025年に日本の生産年齢人口の半分がミレニアル世代とZ世代に占められるようになる。次世代市場での成功には、彼らの関心事に対する理解に加え、「かっこいい」「好き」といった情緒的価値への訴求、ストーリーを持った一貫したブランド価値観の提供が重要となる。

キーワード: 儲かるサステナビリティ、便利×サステナビリティ、情緒的価値×サステナビリティ、サステナビリティ活動の選択と集中、一貫したブランド価値
食品小売業におけるサステナビリティへの取り組み:
2024年度アンケート結果からの現状と課題分析

石川 友博
公益財団法人流通経済研究所 上席研究員

寺田 奈津美
公益財団法人流通経済研究所 研究員

 

 本稿は、食品小売業におけるサステナビリティへの取り組みの現状と課題をどう捉えるべきかという問題をどう捉えるべきかを検討する。流通経済研究所で実施した2024年度と前年度アンケート結果との比較から食品小売業において「気候変動対策」、「サプライチェーンの持続可能性向上」、「イノベーションと技術の活用状況」の取り組みが進展していることを示す。加えて、主としてサステナビリティへの取り組みが自社の事業・経営に「とても良い影響があると感じている企業群」と「その他の企業群」の比較分析から、食品小売業のサステナビリティへの取り組みの現状と課題が、①組織内部における基盤整備と推進体制の不足と、②外部との連携や効果測定の不十分さ、の2点にあることを示す。本稿の貢献は、調査対象を食品小売業に限定し、経年比較可能な食品小売業のビジネスモデルを考慮した設問設計を行うことで、食品小売業のサステナビリティの現状について動態的に掘り下げた点にある。

キーワード: サステナビリティ、食品小売業、SDGs、脱炭素、ウェルビーイング
持続可能な社会の実現に向けて:
ファミリーマートのサステナビリティの取り組み

岩崎 浩
株式会社ファミリーマート マーケティング本部 サステナビリティ推進部 部長

 

 ファミリーマートは持続可能な社会の実現を目指し、「5つの重要課題」を掲げ、そのうち特に注力して取り組む3つのテーマを設定している。「ファミマecoビジョン2050」に基づき定量目標を明記した1.環境対応の取り組み、地域に根ざし独自性あふれる2.社会課題対応の取り組み、障がいのある方や性的マイノリティの方への理解と支援を行う3.多様性尊重の取り組み(ダイバーシティ&インクルージョン)の3つのテーマについて、代表的な取り組みを紹介する。今後も「サステナビリティでもチャレンジするほうのコンビニ」を全社で意識して取り組みを進めていく。

キーワード: サステナビリティ、ファミマecoビジョン2050、環境対応、社会課題対応、ダイバーシティ&インクルージョン
100年後のこどもたちにつなぐバローグループのサステナビリティ推進活動

秋元 武
株式会社バローホールディングス 管理本部 サステナビリティ推進室 室長

 

 バローグループのサステナビリティ推進活動は、グループ会社が保有する様々なリソース(「食の提供・食育」、「健康・スポーツ」など)を最大限に活用し、特に「子育て支援」、「こども応援」に注力している。これからもお客さまや地域、そしてこの活動に参加する従業員との双方向のつながり、コミュニケーションを大切にしながらフードドライブ活動、子育て世帯・こどもたちを応援するイベント、100年後のこどもたちにつなぐ森づくりなどに取り組む「地域共生」モデル、バロー独自のサステナビリティ経営を進化させていきたい。

キーワード: 地域共生、子育て支援、こども応援、フードドライブ、つながり
食品小売業の事例を通じた社会課題解決と企業成長の両立アプローチの検討

寺田 奈津美
公益財団法人流通経済研究所 研究員

 

 現在、企業に対するサステナビリティへの取り組みがますます求められているが、食品小売業にもその取り組みの進展が期待されている。本稿では、食品小売業におけるサステナビリティへの取り組みを分析し、社会課題解決と企業成長を両立するための要因を探った。その結果、顧客参加の機会提供と従業員の当事者意識を高める仕組みの構築が重要であるとの示唆を得た。

キーワード: サステナビリティ、SDGs、食品小売業、社会課題解決、地域密着

視点

収穫逓減リスクと進化する小売業

根本 重之
公益財団法人流通経済研究所 理事/拓殖大学 名誉教授

新刊紹介

茂木信太郎『フードビジネスの社会史』

山﨑 泰弘
公益財団法人流通経済研究所 常務理事

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特集 流研ロングタームフォーキャスト2025と食品小売業態変化(仮)

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